著者ジョンJ.レイティ
ハーバード大学医学部臨床精医学准教授
この本には、運動が脳、身体、精神にどのような影響を及ぼすのか、わかりやすく書かれています。
350ページほどで、全10章にわかれていて、具体的な構成は以下のようになっています。
構成
1章は、導入部で運動がいかに脳、身体、精神にいいのかということが書かれています
2章では、学習
3章では、ストレス
4章では、不安症
5章では、うつ
6章では、注意欠陥障害
7章では、依存症
8章では、ホルモンの変化
9章では、加齢
10章では、まとめ
オススメな使い方
自分が改善したい分野だけ読む
どうしてこの使い方がオススメかというと、それぞれの問題に対して、どういった運動をしたらいいか書かれているからです。
例えば、ストレス対策したいなら、3章を読む、アルコールやたばこなど、依存症で悩みを抱えているなら、7章を読むといった感じです。
面白かったところ
たくさんのことが書かれていました。ここでは、自分が重要だなと思ったところをピックアップしていきます。
自分が学生ということもあり、学習のところはとても興味深かったです。
簡単にいうと、学習成績と有酸素運動の量とBMI指数(肥満度を表す指数で体重(㎏)÷(身長m)²で求められます)には相関があったということです。
運動することによって、どんないいことがあるかというと、BDNFという(脳由来神経栄養因子)が増えるということがわかりました。
このBDNFの主な役割は、脳のニューロン機能を向上し、成長を促し、細胞の死を守るということです。
さらにニューロン新生(新しくつくる)にも大きく関わっています。
運動は、体にいいということはわかっていましたが、まさか脳にいい影響を及ぼすとは、驚きでした。
ジョンJ.レイティ氏曰く、運動は脳の機能を最善にする唯一にして最強の手段と述べられています。
運動効果を高める運動
有酸素運動+頭を使う行動(新しいこと、ちょっと複雑なこと)
例)テニスやボルダリングなど
まとめ(アクションステップ)
それぞれの章にどのような運動をすればいいか書いてあります。
ここでは10章のまとめをもとに、一般の人がどのような運動をすればいいか書いていきます。
本書で述べられているのは、有酸素運動についてです。
まず始めに本書の運動強度について、ウォーキング(低強度)、ジョギング(中強度)、ランニング(高強度)の三段階です。
以下を計算してみてください。
最大心拍数は220-年齢
低強度は最大心拍数の55~65%
中強度は最大心拍数の65~75%
高強度は最大心拍数の75~90%
定期的に運動強度を調べるために、心拍計を購入することを推奨されています。
それぞれの運動強度についてみていきます!
低強度
- 低強度の運動では、脂肪が燃料として燃やされ、代謝が盛んになる
- 血液中に遊離トリプトファン(気分を安定させるセロトニンの原料となるもの)を送り込む
- ドーパミン(やる気や幸福感をもたらす神経伝達物質)やノルアドレナリン(交感神経活性化させる神経伝達物質)も分泌される
中強度
- 中強度の運動では、脂肪だけでなく、グルコースも燃やすようになる。
- 体内の炎症をもたらす因子を始末してくれる、たんぱく質酵素が放出される。
- 体にとって適度なストレスとなり、脳内の回路が強化される。
- ストレスに反応しにくくなり、免疫系も強化され、風邪や病気にかかりにくくなる。
- ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)というものが放出され、ストレス反応を和らげ、爽快な気分をもたらしてくれる。
高強度
- この強度の上限あたり(最大心拍数の90%あたり)では、代謝は有酸素から無酸素へと変わり、筋肉が血流から十分な酸素を引き出せなくなり、筋肉組織内にあるクレアチンとグリコーゲンを燃やして、筋肉には乳酸が蓄積する。
- ヒト成長ホルモン(HGH)が放出され、腹部の脂肪を燃焼、筋肉繊維の層をつくり、脳の容量を増やす。
ヒト成長ホルモンはあらゆ成長因子(BDNFやインスリン成長因子など)を増やすホルモン。 - 年齢とともにこのHGHは減るとされているが、高強度の運動でHGHを分泌させることができる。つまり老化防止になる。
- 中強度の運動の合間に全力疾走を入れるなどのインターバルトレーニングもオススメ
本書で推奨されている運動方法
週に6日有酸素運動を45分から1時間するのが理想と書かれています。
そのうち4日は、中強度で長めにやり、あと二日は高強度で短めにする。
具体的な運動の流れ
- 1日5分だけウォーキングしてみる
- それを繰り返して徐々に時間を延ばしたり、歩くスピードを上げてみる
- 中強度の運動に慣れてきたら、高強度の運動を中強度の運動の合間に少し入れてみる。
- 最終的に週に6日間有酸素運動を45分から1時間(4日は中強度、残り2日は高強度)行う。
こうやって徐々に強度を上げていってください。
無理せずに続けることが大切です。
運動習慣がないあなた、ぜひ1日5分でもいいので運動を始めてみてください。
本書にはもっと詳しくたくさんのことが書かれています。
読んでモチベーションを上げたい方は、ぜひ読んでみてください。
今回は以上です。